どうも、だいむねと申します。以後お見知り置きを。
今、ある界隈からの刺客にやられるオタクが多いらしいです。一体どこからの刺客なのでしょうか?
それは・・・
そう、ワールドトリガーです。
今ワールドトリガー界隈が熱いらしい。
表立って波が来ているというよりは静かに裏側で波が来ている感じです。
ビッグウェーブのきっかけはとある作家さんがワールドトリガーを読んだところから始まったと思います。
https://twitter.com/aoi_sumire/status/1471105385595826181?s=21
ここに読んだ時に出た悲鳴(感想)がまとめられてるそうです。作家目線というのもあり、非常に面白い感想になっているので一度ご覧になってみてください。
※まとめた方、呟いた方への許可はとっています。
これを皮切りにワールドトリガーを全巻、または9巻まで送られた方が続出。
また、【Amazonのほしい物リストにワールドトリガー全巻を入れておくと自宅に全巻届く】という事態にまで至っています。正直怖いが、外野視点はめっちゃおもろいです。
ちなみにその刺客にやられた方々は皆しっかりとこちら側へ堕ちたようです。
Twitterで「ワールドトリガー 全巻」で検索してみましょう。被害者がたくさん出てきます。
刺客側も「読めば沼るのわかってるから送ってる」と言い出す始末です。完全にヤクザです。
ワールドトリガーを勧めてくる、送ってくるオタクはワクザと呼ばれています。ワールドトリガーヤクザです。ここまでくるとテロに近い。
まあ冬のボーナスの時期だからね。仕方ないね。
そんなヤバいファンが渦巻くワールドトリガーですが、内容は驚くほど話の構成、キャラの構成、状況設定などが練り上げられています。至高の領域に近い。
それを今回軽いネタバレを交えながらお伝えできたらなと思います。
ワールドトリガーとはどんな物語なのか?
すげー簡単に説明すると、異世界(ネイバーフッド)から侵略してくる敵を凌ぐというもの。ちなみに、異世界人のことを近界民(ネイバー)と呼びます。
そのネイバーからこちら側の世界を守るために【界境防衛機関:ボーダー】という異世界からの侵略に対抗する軍隊で起こる出来事を描いています。
トリガーという武器を使い、ネイバーと戦うというのがすげー簡単な説明です。
武器はトリガーにセットして使わないといけません。セットできる数は決まっています。例外を除きメインとサブに各4つずつです。
そしてボーダーのトリガーは規格化されていて、例外を除き全隊員決められたトリガーをセットします。
さらに、このトリガーセット、正隊員の9割が違う構成をしています
そしてパラメータも各隊員違います。
パラメータや自分の性格、チーム戦術などを加味して各隊員はトリガーをセットしています。
こういうところに性格とか能力的な問題や課題、チームの戦術、長所や短所などが散りばめられていて読んでいて楽しいです。
こういうのをもっと知りたい方はファンブックである【BORDER BRIEFING FILE】(通称BBF)を読んでみてください。気になることは大半載ってます。
とまあ、こんな感じで面白いなと思うところをいくつか紹介したいなと思います。
何が面白いのか
面白いところをあげるとありすぎてキリがないですが、いくつかあげようと思います。
【集団戦の描写が他の追随を許さないレベルで上手い】
著者である葦原大介先生は「集団戦の方が動かせる要素が多いから展開を作りやすくて描きやすい」とおっしゃっています。
簡単そうに言っていますが、この人の描写は異質なほど上手いです。
通常、戦闘する作品は「ヴィランを活躍させるために主人公サイドにわざと悪手を踏ませる」と言うシーンや、「主人公サイドのためにヴィランサイドが頭の悪い動きをする」と言ったご都合主義的なシーンがあったりします。
しかしワールドトリガーにはそれがありません。
非常に現実的に戦局が動き、複雑な集団戦を展開しつつ、それを読者に非常にわかりやすく理解させることができる。そんな作品です。
相手は勝つための合理的な行動しかしてこない。しかも三つ巴や四つ巴、あるいは組織対組織の集団戦を展開してくるのです。
僕は齢二十五ですが、これ以上に集団戦の描写が上手い作品を知りません。
「ヒロアカA組対B組みたいな展開描写をより緻密にして、それを毎試合やってる」という表現をどこかで見ましたが、言い得て妙やなって思いました。
ちなみに、ヒロアカはアニメ勢とはいえ大ファンです。漫画も買おうかなと思い始めているくらいには好きです。
ヒロアカはキャラの心内描写が上手いなぁと思います。ベタですが、【轟焦凍:オリジン】は全作品の中でトップクラスで好きなレベルです。
話を戻して集団戦が上手いについて、百聞は一見にしかずと言いますので何個か例をあげてみましょう。
※ここからは漫画18巻くらいまでのネタバレが含まれています。物語に深く影響するものはなるべく省いてはいますが、ネタバレが嫌な方はブラウザバックのほどよろしくお願いいたします。
これは3部隊が三つ巴でたたかっている様子です。
この6ページだけで集団戦の描写の上手さが出てる気がします。
こんなごちゃごちゃした戦局をサラッと描いています。
しかも全員意味のある行動をしています。
- 弾から逃げる兵
- 標的が逃げたため、目標を変えて弾で相手を浮かす兵
- 浮いた兵を伸びる斬撃で斬ろうとする兵
- 浮かされた味方を行動補助能力で援護
- 味方の行動補助で斬撃を逃れたが、高く浮いてしまった兵に2人(それぞれ別部隊)が狙撃
- 狙撃をなんとか避けた兵が着地
- 伸びる斬撃を打つ相手を近づかせないために着地した兵と一緒に射撃で牽制しようとする部隊
- その一瞬の隙を伺って先程弾から逃げて身を隠した兵が負傷兵を奇襲
と言う流れをサラッと6ページで描いています。当たり前のように描いてあるけど、分解してみると情報量多くない?でもそれを当たり前のように読者が理解できる描き方をしています。天才的だ…。
もう一つ挙げてみるとすれば
こんな感じ。
- まず四つ巴している味方の援護で爆撃を敢行
- その爆撃を連射性能の高いライフルで狙撃で全て撃ち落とす(頭おかしい)
- 爆撃した兵の居場所が割れたため威力の高いライフルにいつのまにか持ち替えて狙撃手が狙撃(本当に頭おかしい)
- それを狙撃手、爆撃した兵とも違うチームの兵がポイント欲しさに狙撃を防いで爆撃兵を倒す(その際、レーダーに映らなくなる装備を解除し、威力の高いライフルを読んでシールドを2枚展開)
- 爆撃兵、死を悟り爆撃を敢行して退場
- 四つ巴の戦場に置き土産の爆撃
- 爆撃で場が荒れた戦場でエースたちが崩れた敵兵を狩る
- 爆撃で射線が通った戦場に狙撃手が狙撃
というのをサラッと書いています。これがすんなり頭に入ってくるのおかしいよ・・・
大体どの試合をとってもこんな感じで集団戦が展開されています。読んでて飽きませんね・・・。
【主人公が弱い】
ワールドトリガーは「主人公が作中で最弱」という設定を忠実に貫き通しています。
画像のメガネくんが主人公です。といっても公式が「4人主人公おるやで」と言っているので主人公は4人いるのですが、話はこのメガネくんを主軸に動いていきます。
そしてこのメガネ、ほんとに弱いんです。どれくらい弱いかというと
- 入隊試験に落ちる
- トリオン量(戦闘で使う魔力のようなもの)が戦闘員の中で最低値
- 正規の方法で入隊していない
- 正規の方法で昇格していない
などいろいろあります。
トップの人の評価は
こうです。ほんとに弱いんですよ。
しかし、
こうも評価している。
自分が弱いという自覚があり、それを知恵と工夫で補う。そうやって苦難を乗り越えていく。それが見ていてすごく心動かされてしまいます。
私はゲーマーなのですが、重ねてしまうのですよ。ゲーム初心者の頃に自分と。足りない腕を知恵と工夫で補って成長していく過程を僕は知っている。だからこそ三雲修という最弱の主人公に自分を重ねてしまう。
成長している過程も昔、今の自分と重なって共感の嵐が発生してしまうのです。
そして、修の弱さを最大限に引き出せる設定にベイルアウトがあります。
そう、ベイルアウトによって修を何回も死なせることができる。
ベイルアウト≒死であるため戦場での死を何回も経験させられる。しかし、死にはしないので所謂死に覚えが可能なのです。
作者の意図で何度も殺せることは話を作る上でかなり楽でしょう。死よりわかりやすい弱さの表現は中々ありませんから。
死なないからといって緊張感がないのかというとそうではなく敵国は攻めてくるし、戦闘を勝ち上がることに意味付けをすることで緊張感を作れる。
しかも、ベイルアウトによって主人公サイドが負ける可能性すら示唆できている。その可能性を考えると読んでいて考察のしがいがありすぎるんですよ。
とまあ、その後彼は後にチームを組み、目的のために2位以上を目指します。
チームメイトは
- 空閑 遊真
主人公の1人。戦闘経験1位でトップに引けを取らない戦闘力を持つ
- 雨取 千佳
主人公の1人。戦闘経験は全くないが、作中トリオン量1位。トリオン値は38(修は2)。しかし、ボーダーの計測機器で測れるのが38までらしいので、実際はもっと上らしい。一説では250ほどあるともいわれている。※当時、千佳を除く最高トリオン値は14です。
とまあ、なんて豪華なメンツでしょうか。
こんなん最強やんけ!と思うかもしれませんが、これだけのメンツを揃えても勝てないのがワールドトリガーです。
空閑以外の戦闘経験が浅いため、空閑がキャリーしているというのが周りからの評価です。
それに負い目を感じて修は葛藤します。
師匠に射撃戦のエキスパートに話を通してもらい、射撃戦の実戦的な戦術を学びに行きます。
この実行力は僕も見習いたいものです。そして
習ったことを実践して優位を取ろうとします。しかし
当たり前のように対応されてしまいます。
やってる事は超レベル高いと思うんですけどね・・・
そして、
色々あって落とされてしまいます。
これは師匠らが言っていた
柔軟さを失った戦い方をしてしまう、小技を覚えて当てたくなり戦術に影響をきたしてしまう。
これ、ゲーマーが新しいことに挑戦して泥沼にハマる様にそっくりなんですよ。
こういった葛藤や挑戦、挫折の仕方が現実的であり、誰もが経験したことがあるであろう描かれ方がされている。そこにハマってしまうのです・・・。
そして、主人公だけが強くなるわけではなく、鍛錬するものが皆強くなっていくという当たり前だが、これを言い切ってしまうのがワールドトリガーです。一応言っておくと、週刊少年ジャンプで掲載していた作品でこれを言っています。
【名言が多すぎる】
週刊少年ジャンプで掲載していたから当たり前なのでは?と思うかもしれませんが、現実的な名言が多すぎます。その中でも僕が1番好きなのは
これです。これ週刊少年ジャンプで掲載してたって本当ですか・・・?
「気持ちの強さは関係ない」
これを現在個人成績1位(チームも1位)の人が言っていることで言葉の重みを感じさせます。
ていうか気持ちが乗りまくったこの場面を見てそれ言うか?とこれだけ見たらドン引きしそうですが、その後の
「気持ちの乗った熱い勝負は大好物」
「けど、気持ちの強さで勝負が決まるって言ってしまったらじゃあ負けた方の気持ちがしょぼかったのかって話になるだろ」
ていうセリフで僕はこいつを大好きになりました。
ちなみにこの男、他の追随を許さないレベルの戦闘狂で実際1位という強者ですが、頭が残念で大学はボーダー推薦という闇の制度で入学。その大学でも単位がやばいという公式設定があります。人生を戦闘に全振りした男。生まれた世界がこの世界で良かったね・・・
他にも
こういったセリフや
こう言ったセリフもあります。なんでこいつそんな偉そうなの?と思う方もいるかもしれませんね。
この女性、木虎は修のようにトリオンが少なくて苦労した人間であり、並々ならぬ努力で最上位に上がってきた経歴もあって自分にとても厳しいストイックな性格なのです。そのため他人にも厳しく、特に似た境遇の修にはもっと厳しいのです。木虎なりの不器用な優しさなのです。
ちなみに木虎はその性格の厳しさから読者受けが悪いだろうとマネージャーに言われ、その対策として作者に胸を盛られたという裏話があります。
こんな感じで名言が多いのですが、キャラクターによって価値観、性格などが違い、それを繊細にわかりやすく描いているのもこの作品の魅力です。
その価値観などが違うキャラクターからそのキャラが持つ価値観目線の名言がバンバン出てきて読んでて飽きない。対人描写もうまい。天才です。
【遅効性】
最後に【遅行性】です。
ワールドトリガーといえばこれです。キャッチコピー募集で読者から【遅行性SF】と送られて、作者が「これ以上にワールドトリガーを表現するものはない」と大絶賛して今でも謳っているキャッチコピーです。
また、【やがてその意味に気づく物語】というキャッチコピーも気に入ってそうです。
ワールドトリガーは最初は何気ない行動だったのかな?と思う行動を意味のあるものに仕立てるのが死ぬほど上手いです。わかりやすい例で言うと
これです。ちなみに帯みたいなものに纏われた剣を振るう人は4人目の主人公です。
最初は(詮索が鋭い隊員から落としたのかな?)とか(噛ませかな?)と全読者が思っていたでしょう。しかし、
あの時落とした隊員は耳がよく、こちらの攻撃が音でバレる恐れがある。ほっとくと1番やばいやつだったから1発目に落とした。そう解釈せざるを得なくなります。
しかも
恐らく耳の良い隊員を最警戒しており、手の内を彼もとい彼の周辺にもずっと教えなかったという事実付きです。
なんなんだこの漫画・・・
こういう気づきが読めば読むほど出てきます。1周目に気づかなかった出来事が2周目に、2周目までに気付かなかった事実が3周目に・・・と読めば読むだけ味が増していきます。スルメかよ。
なので、歳を重ねる毎に面白さを新たに見出せます。僕はこれによって歳をとることを少しだけ嬉しい変化だと捉えれるようになりました。
終わりに
ここまで読んでくださった方々はとりあえず駄文に付き合っていただき誠にありがとうございます。
書きたいことがまだまだたくさんあります。強さがインフレしないだとか、最初の強敵みんなつえー仲間やんけ!!!だとかほんとに語ればキリがないです。しかし、めっちゃ長くなるので今回はこの辺で。
一見、ジャンプっぽくない作品に見えますが、ジャンプの三大原則「友情・努力・勝利」がしっかりと描かれているめちゃくちゃジャンプらしい作品です。
ワールドトリガーは今アニメ界隈の裏側でめちゃくちゃホットなジャンルです。なんせ刺客が浮いたコマを狩りにきますから。
少しでも興味がある方はとりあえずぜブラックで9巻まで読んでみるか、Amazonのほしい物リストにワールドトリガー全巻をぶっ込みましょう。
9巻が大きな節目です。9巻まで読んだらあなたはきっとこちら側へ来ることでしょう。
では今回はこれで。ご拝読ありがとうございました。
いいね、RT、Twitterのフォローなどなどしていただければ幸いです。